星屑キネマ

日々のお話

殻の中から見る幻想

「高校の3年間はあっという間だよ」

 

そんな言葉を昔、聞いた気がする。誰が言ったかなんて忘れてしまったけど。確かに、その言葉の通り、高校生の時間は短いように感じた。“華のJK”なんて言葉を言っている人達もいたけど、そんな素敵な華のような時間は永遠には続かない。まるで、勢いのある風が肌を掠め通るように、はやかった。

 

「高校生の時の楽しかった思い出は何?」と聞かれれば、なんと答えるだろう。皆で協力した体育祭?みんなが集まる学園祭?それとも、友達と帰る帰り道?たぶん、どれもこれも違うと思う。確かにそんなことはあったけど、ただそれだけ。その時は楽しかったけれど、今となっては、「あ、そんなことあったね」程度の思い出たち。

 

 

小学生の頃、中学とか高校というものに憧れを持っていた。漫画やアニメで見た青春物語や、テレビ番組でやっている青春ドラマ。高校は、こんなのなんだ!と思ったのを今でも覚えている。けれど、実際入ってみて思ったことは、「もし、あのアニメやドラマの物語の中に私がいたら、クラスメートMくらいなんだろうな。いやむしろ、別のクラスの人かな」ということ。人には、その人の物語がある。なんて、そんなこと昔からわかっていたけど。私には、どうやらその登場人物たちは眩しすぎたみたい。友達とバカをする毎日。友達の為を思って泣ける人。友達と言うより、仲間と言った方がしっくりするような繋がり。なんて。

 

 

高校は、スクールカーストとかグループなんてものはなかった(気付いてなかっただけであったかもしれない)けど、クラスの中で派手か地味かを決めると、私は地味寄りだったなあって今更ながら思う。高校生の時の楽しかった思い出は、ゲームだよ。そんな高校生時代。

 

 もっと、積極的に行動していたら、あの憧れにも近付けたかな?ワイワイした毎日になってたかな?今更、あれこれ考えても、もう遅いけど。人生は1度きり。その言葉の意味が、遅いけどわかった気がした。

 

 

憧れは、結局憧れのままだった。